愛着障害と発達障害

 

愛着障害という言葉を知っていますか?

愛着障害とは、乳幼児期に特定の養育者(父母など)との愛着形成がうまくいかず問題を抱えている状態のことを指します。

赤ちゃんや子どもが養育者に働きかけ、養育者がそれに応えることで愛着は形成されていきます。ちなみに、生後12か月ごろまでの乳幼児期が愛着形成期と呼ばれています。もちろんその後幼児期でも児童期でも愛着の形成はされていきますが、もっとも重要な時期という意味で生後12か月はそう呼ばれているようですね。ところで、愛着形成の完成期は2~3歳ごろと一般的には言われていますが、自閉症児は愛着形成が行われにくく年齢より遅れて完成するとも言われています。また、たとえ2~3歳の完成期を迎えたからと言ってもう気にしなくていいというものでもありません。

 

 では、形成がうまくいかず問題を抱えている状態とはどんな状態を指すのかというと・・・

そもそも、愛着障害という診断は医学的な意味では5歳以前に発症している状態であり、子どもにつける診断になるそうです。

では、医学的な意味での愛着障害とはどんな状態?と言うと、

「反応性アタッチメント障害」と「脱抑制型対人交流愛着障害」の2つに分類され、前者は人に対して過度な警戒をし、後者は過度に馴れ馴れしい態度をとってしまうということです。治療には、カウンセリングや心理療法、家族療法などが用いられ、投薬はされないことが一般的なようです(幼児なのでね)。

ただ、子ども(児童期とか思春期とか)でも心理学的な観点から「愛着障害からくる〇〇」といった形で診断?だか医師の見解?がつくことはあります。その場合の治療は、投薬も視野に入ります。

 

さてさて、そこで上記の子どもに一番現れやすい症状が、発達障害の疑い」及び「不登校なわけです。

心理学的な意味での愛着障害(以後、愛着形成不全と書きます)により、発達に何らかの偏りが生じ、発達障害のような状態にみえることがままあります。落ち着きのなさ、記憶力や集中力の低下による学業不振、表情に乏しくほかの子どもとの交流がない、逆に距離感がなく人に土足で踏み込んでいく、空気の読めない言動をとる、などですね。また、不登校にもなりやすく、それはたとえば体調不良を起こしやすかったり不眠傾向や食欲不振があったりして朝起きられない・エネルギーが湧かない、あるいはわがままやこだわりが強く集団行動に抵抗を感じる、などが原因であったり、または自身のふるまいにより対人トラブルを招いたり勉強が嫌で不適応を起こしたり、といったことが原因であったりします。

 

ということで、愛着障害の原因や発達の偏りとの関係についてまとめると、以下の3つのパターンにわけられることがほとんどとなります。

 

①もともと少し発達の偏りもしくはHSC(⇒後のブログで取り上げる予定です)があり、親の養育がうまくいかず「愛着形成不全」または「愛着障害と診断された状態」になる⇒育てにくい子だから、子に余計につらく当たってしまったり、結果的に虐待となってしまった

②発達の偏りは見られなかったが、親の養育がうまくいかず「愛着形成不全」または「愛着障害と診断された状態」になる⇒親が未熟で(親自体も愛着形成不全で育った可能性高い)、あるいは精神疾患を患っていて虐待をしてしまった

発達障害(明らかな発達の偏り)と「愛着形成不全」または「愛着障害と診断された状態」の併存⇒明らかによその子とは違っていてどう育てたらよいのかわからず、親も精神的に追い詰められ、子につらく当たったり結果的に虐待となってしまった

 

以上です。当事者は客観的に物事を見ることは難しいので、子どもに関わる仕事をしている人たちの見極めってとても大事ですよね。

 

さて最後に、以下は完全なる私見ですが、書き逃げさせてもらいますね・・・!

 

発達障害もしくは発達の偏りのベース」には、代謝機能不全や養育環境、遺伝、愛着障害及び愛着形成不全が絡んでおり、

愛着障害及び愛着形成不全のベース」には、養育環境や本人の気質、発達障害もしくは発達の偏りが絡んでおり、

精神疾患のベース」には、愛着障害及び愛着形成不全、本人の気質、遺伝、発達障害もしくは発達の偏りが絡んでいる、と感じています。